納骨・分骨の昨今の事情

 ずいぶんと間が空いてしまって、約1年ぶりの投稿となりました。お許しください。

 昨年9月上旬に、東京ビッグサイトで開催されたエンディング産業展を視察する機会がありました。

 エンディング産業展とは超高齢化社会や単身世帯数の増加、社会の国際化や女性の社会進出、ひいてはLGBTQなどの個性の尊重などの社会構造の変化が進む日本において、個人個人の人生のエンディングにふさわしい葬儀や埋葬、供養を消費者がサービスとして自由に選択でき、そして家屋や財産の相続など次世代にスムーズに引き継げるよう、次世代の終活産業を創り出す製品・技術・サービスを持つ企業・団体が一堂に集まり開催する、日本最大のライフエンディング業界専門展示会のことです。

 展示ブースを回って気づいたことは、金仏壇などの大型仏壇が全く見当たらない、仏壇が小型化され、おしゃれでリビングやダイニングに安置しても違和感のないものばかりが展示されていました。そもそも、昨今の新築された家屋に仏間や和室がないことで、ある意味当然のことなのでしょう。

 多種多様化される商品に驚きを禁じえない中で、興味深くも複雑な心境で各ブースを一日がかりで見学させていただき、丁寧な説明をそれぞれの会社から受けました。

 なかでも、納骨・分骨に価値観の変化が目に見えて起こってきていると感じたのです。お骨や分骨を手元供養できるカラフルで、なかには高額で豪華な骨壷を始め、分骨用のペンダントの数々、海洋散骨、樹木葬、ガーデン葬、果ては宇宙葬(遺骨の一部を収めたカプセルを専用のロケットに搭載し宇宙空間に打ち上げるプランなど)といった真新しい納骨・分骨のスタイルの提案に戸惑うばかりでした。

 つまり、葬送儀礼や納骨など個々の自由な選択といったニーズが、都市部はもとより全国的に多様化してきているということですね。多種多様な仏壇や納骨グッズなど、最近は御坊市内の仏壇屋さんでもよく目にします。

 過疎問題を考えるとき、寺院側が伝統的な納骨手段にこだわるあまり、ご門徒の自由な選択肢が狭められるといった弊害が今後出てくるように思われます。それによって、お互いの距離が益々拡大し、離檀などといった寺院運営を枯渇させる要因が起こらなければよいのですが。

 あなた自身はどういった納骨・分骨をお考えでしょうか?